改善と競争

米国では大統領選の真っ只中だ。オバマ大統領は最近の演説で「競争(competition, race)」といったキーワードを多用して、米国を活気付けようとしているらしい。しかしながら、「競争」は“切磋琢磨”というポジティブなニュアンスもあるが、含みとして“蹴落とし合い”という陰気でネガティブな側面もあると考える。また、どうしても「他人との比較感」が意識されるので“勝ち組・負け組”といった明暗分けのイメージや、人によっては競争状態を意識すると途端に萎縮してしまうかもしれない。いわば諸刃の言葉だ。

自分としては競争の代替語として「改善」や「向上」を勧めたい。改善も向上も「(過去の)自分自身との比較」に基づいている。他者との比較がニュアンス内にそれほど強く入ってこないので、勝ち負けにこだわるいやらしさ感じもない。どちらかといえば「求道」といった雰囲気が漂っているので爽やかだし、背後に「成長」という陽気な感じのイメージも伴っている。なんとなくやる気が出そうな言葉だ。ナンバーワンではなくオンリーワンという文脈にも沿うと思う。