ガラパゴスか、ウィンブルドンか

日本はウィンブルドンにすらなれない(目指してもいない?)反面、ひたすらガラパゴス化が進んでいるように感じる。ウィンブルドンとは文字通りテニスの四大国際大会ウィンブルドン選手権のことであり、自由競争を通じた切磋琢磨の開かれた世界を比喩するものだ。一方、ガラパゴスは広い世界からは遮蔽された空間にひたすら引きこもり、閉じこもりという鎖国感満載の雰囲気を持ち合わせる言葉である。

個人的に、前者の世界観は精神的にも肉体的にも「若くてはつらつ」としている感じがするが、後者のそれは「退潮気味で挑戦心のない老いた精神」を想起させる。

別の観点から見れば、ガラパゴスというのは非常に現状維持志向が強そうだが、ウィンブルドンの場合は成長を求めて変化を厭わない冒険志向が強そうだ、といった印象も持っている。おそらく日本人にもガラパゴス派とウィンブルドン派がいるだろう。いっそのこと政党も民主・自民ではなく「ガラパゴス党」と「ウィンブルドン党」としてしまったらよさそうだし、国家も二分するのはどうだろう。そんな気がする。

最適化という計量ロジック的な視点から見ると、ガラパゴスは「部分最適」或いは「局所最適」で甘んじるアルゴリズムだが、ウィンブルドンは「全体最適」を求めるアルゴリズムのように見える。部分最適ではいずれ行き詰る。実際、企業でも国内での優位性という「部分最適」ではもはや“間が持たない”ので、「新興国市場」をはじめとするグローバル市場でのビジネス最適解という「全体最適」を目指している。すると、目線は必然的に海外シフトとなろう。

そして今議論されているTPPは企業の全体最適を後押しするはずだ。TPPを止めれば、現状維持という部分最適が関の山であり、ガラパゴスが進行するだろう。ガラパゴスではなく、ウィンブルドンになれるようTPPを推し進めていただくことを希望する。