粉飾、損失先送り、飛ばし

オリンパス事件」だが、どうやら過去に発生した損失計上の先送り、いわゆる「飛ばし」だったようだ。決算の粉飾に相当すると思われるので、巷では早くも上場廃止だの只ならぬ雰囲気が漂っている。ニュースなどに「80年代の財テクブーム」という半ば死語と化した言葉が目に付いたが、長いこと清算されずに残っていたということか。

そうなると、「他にも存在するのではないか」と疑いたくなるのが人間心理だ。今回のオリンパスの場合、M&Aを隠れ蓑として、それを損失先送りのビッグ・バスとして利用していたわけだが、投資アドバイザーはおそらく同様の手口を他の困っている人たちにも提供していたはずだ。この手の案件処理は、やくざと一緒で一旦頼んだり手を染めるとなかなか足抜けできない。その意味で投資アドバイザーからすれば商売としてオイシイわけだ。

当時の会計処理に関する方法論や手続き論からすれば「違法ではない」というロジックだったのだろう。グレーゾーンに暗躍する金融ブローカーは今後の飯の種を失ったことになろうが、タフな人たちなので更なる地下潜入によってしぶとく生き残る可能性はある。

また、デリバティブと称される一連の金融仕組み商品が会計操作に使われることが多いことも、「デリバティブ悪玉論」の一端を担っている。都合の悪いことや不始末など表層的な帳尻合わせに利用する癖は提供する側ならびに利用する側の双方にとって、なかなか直しにくいのかもしれない。

オリンパスの件は「ウソ行為」の範疇にはいるわけだが、そもそも「ウソ」というの生物進化論上、かなり原始的な生命体の時分から存在する行為のようだ。言い換えれば、高度に知性が発達し、認知的活動に長けている人類だけの「専売特許」というよりも、むしろ、昆虫、爬虫類、両生類、辺りから存在する代物らしい。所謂、「擬態(ふりをする)」のがウソの起源であるようだ。彼らの場合、「本能」(直感脳)が行動のベースなのだが、こうした「ウソ」は「外敵をあざむき種として生き残る」いう“生存本能の働き”が根底にある。

だから、人類の「ウソを働く行為」とは、古代の頃からの生物進化の過程で脈々と受け継いできた「継承の賜物」である可能性がある。そのため、ウソは本能(直感脳)に近い部分が働く防衛本能・生存本能に根付いた行為なので治しにくいとの報告もある。


そのため思わずウソをとっさについてしまうことがしばしば。オリンパスもそうだったのかもしれない。粉飾の動機も脳の機能と構造から説明できそうだ。