消費税の滞納率は?

野田増税内閣が成立したのだが、増税の本命ターゲットは消費税だろう。でも、消費税ってキチンと納められているの?という疑問がどうしても沸いてしまう。TV取材などによれば、ギリシャでは小売事業主による売上税の滞納や、売上隠しが横行しているらしい。一方の日本は違うのかもしれないが、でも「同じようなところ」「似たようなところ」もあるだろう。

更に、税率が上がればますます脱税の動機が増す上に、源泉徴収制度によってサラリーマン所得状況は「ほぼ100%ガラス張り」になっているのに対して小売事業主たちの収支状況はやや「くもりガラス」な感がある。その分だけ「脱税に対する検挙率」は下がるだろうし、検挙率が低くて税率が高いのであれば、「脱税利得率」は所得税の場合よりも大幅にアップしそうだ。

なぜ、そのように思うのかというと、昔(高校生くらい)の時に社会科で「クロヨン」とか「トーゴーサンピン」といった用語を習ったからだ。

クロヨンのWiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A8%E3%83%B3

クロヨン(9・6・4)やトーゴーサン(10・5・3)、トーゴーサンピン(10・5・3・1)などは税務署による課税所得の捕捉率に関する業種間格差を指す語である。

そして、

サラリーマン(給与所得者)は約9割、
自営業者は約6割、
農業、林業水産業従事者は約4割

このことを指して「クロヨン」と称した。

サラリーマンの所得は原則として源泉徴収されているため「もれ」の発生可能性は極めて低い。これに対し、必要経費を自ら算出して自己申告する者、例えば自営業者の場合、収支における公私の境界線が曖昧にならざるを得ない。このグレーゾーンについては事業者の自主計算により申告する以外に手立てがないことから「もれ」が生じ得る。

そして、サラリーマン以外では「半分程度」が漏れているということ。消費税が上がればこうした「もれ」がそれこそ「もれなく増加する」のではないかと筆者は懸念する。

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加えて、滞納についても興味深い。国税局のホームページによれば、平成22年度の新規発生滞納額は、6,836億円で、このうち、消費税については、3,398億円となっている。つまり、滞納の半分は消費税なのだ。消費税率を上げてもこの部分が増加するだけなのでは?という懸念も浮上する。

ちなみに、税目別滞納額を比較すると、
源泉所得税 702億円
申告所得税 1265億円
法人税   1025億円
相続税   434億円
消費税   3393億円
となります。

また平成22年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は1.6%とのこと。

ちなみに手元計算で「滞納発生割合」を税種別で算出すると、
申告所得税の場合、「新規発生滞納額1265億円」を「申告納税額2兆2431億円」で割って5.6%と出てきます。個人事業者の場合、申告所得税です。その人たちの滞納率が5.6%と全体の1.6%に比べて高い。

加えて、脱税摘発件数や額でも申告所得税は(源泉所得税以外の所得税)3番目に多い税目である。
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/sasatsu/index.htm

こうしたことを野田政権は勘案してくれているのだろうか。