金返せ!

9月4日付のウォール・ストリート・ジャーナル氏によれば、「米当局がバンカメや野村など17金融機関を提訴、住宅ローン証券販売で」の見出しで、

“米連邦住宅金融局(FHFA)は2日、世界の17の金融機関が監督下のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)に合計1960億ドル相当のリスクの高い住宅ローンを、適切な情報を開示をせず4年にわたり販売していたとして、連邦裁など計3カ所の裁判所に提訴した。”(以下略)

とあった。なおソースは
http://jp.wsj.com/US/node_300356

リーマンショックのあった2008年以降。欧米大手金融機関が「デレバレッジ」を実施する際に公的資金による支援を受け、その後ストレステストを経て業績が急回復に向かったのは記憶に新しい。「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ではないが、欧米の金融機関はリーマンショクから回復した2009年度、2010年度になると、彼らの巨額ボーナスに復活の兆しが散見されはじめる。

一方、その期間、彼らのデレバレッジを背負わされた政府のバランスシートが急膨張。米国にいたっては2011年に入ってからバランスシート規模が上限に達し、公債の追加的が困難になりそうな一面もあり、S&Pによる格下げの憂き目に遭遇した。政府にはお金がない上に、今後も足りないのだ。そうした苦境の政府を尻目に欧米金融機関では高額ボーナスの復活を目指すべく「大規模リストラ」を通じ着々と手元現金を増やしている。政府からすれば「他人にケツ持ちさせておいて、自分たちはのうのうとツメ伸ばしている」ように見えるだろう。

したがって、このタイミングでの提訴はお金が必要な政府が資金確保に動いたと同時に「よろしくやっている金融機関」に対するイエローカード的な意味も込められているのかもしれない。彼ら(金融機関)に対して下手に現金を渡すと「種籾」まで食べつくしてしまいそうだと政府側が懸念したのだろうか。政府と金融機関とのバトルはこれからも続くだろう。