「執行猶予の身分」だったS&Pにはどんな未来が待っているのだろう

「八月八日」という末広がりで縁起の良さそうな日であると同時に二つの原爆メモリアル日の狭間の時期でもあるのだが、NYダウが600ドル下げた。話によれば史上6番目の下げ幅らしい。発端は8月5日金曜日のNY時間の夜にS&Pによる米国格下げだ。8月8日は月曜日で週明けに相当する。

興味深いのは、S&Pの格下げ発表前日である8月4日にもNYダウは500ドルも下げている点だ。この日は新規失業保険申請者数などが発表されたが、申請者数は減少傾向、つまり改善を示す数値が出た。他にも特段に材料視されるようなニュースは発表されなかった。したがって、500ドルの下げを不思議に感じたものの、一方で市場ではしばしば起きうることと納得していた。

今になって思えばこれはインサイダーだったのではないか?

S&Pは格付け会社という「事業会社」であり金融機関ではない。給料水準も金融機関のレベルからすれば格段に安いことは有名。したがって、しばしば格付け会社で「修行」したのちに、格付け評価のスキルを資産運用の現場での銘柄選択などに活かすべく「転職」する例が多々ある。S&Pの現役のシニア・アナリストの元上司がどこぞのヘッジファンドの運用責任者なんてことは珍しくないのだ。

つまり、ヘッジファンドの責任者からすれば、「格付け手法のイロハ」を教えた元部下が、格付け会社での格付け責任者になっているというわけ。だから、ヘッジファンドの責任者は彼らの格上げ・格下げの「手の内」を重々承知。非常に有利なのだ。

加えて、元部下にも「いずれヘッジファンドの責任者になりたい」という野心があるとすると、ファンド界で出世した元上官の心象を良くしておきたいという動機に駆られるだろう。転職では「人のつながり」こそがモノを言う世界。

などなどを想像すると、S&Pの米国格下げは「事前にもれていた」のかではと疑いたくなる。今のところ証拠はないのだが、今後出てくる可能性は高いと見る。

なぜなら、S&Pは米政府だけでなく全世界の政府筋を「ホンキで怒らせた感」があり、政府軍団は恐らくこれからS&Pのホンキ潰しにかかるだろう。その手始めにインサイダー疑惑辺りの調査をするのではないか?と思うからだ。マドフ事件など詐欺やインサイダー疑惑は永遠のつき物だし、S&Pも叩けばホコリの出る身だろう。

S&Pには前科がある。それは「銀行から依頼で彼らの証券化商品を格付けしたが、銀行から金銭を受け取ってAAAを付与していた」ということだ。そのことは非難されたが、現実的な「お咎め」はナシで済んでいる。そういう意味で「執行猶予の身分」「保護観察下の立場」なのだ。

そんな状況でS&P「親につば吐いた」のだ。

政府筋ってある意味でヤクザより怖い。なんのかんので強引にしょっ引くことが可能だからだ。警察でいう「別件逮捕」ってやつ。

果たしてS&Pにはどんな未来が待っているのだろう。