G7上の「ありゃ〜」

G7 Major が G7 Minor に“変調”してから久しいが、その本尊である米国が米S&P社によって格下げ(AAA⇒AAプラス)されてしまった。話によれば、70年間AAAを維持してきたとのことなのだが、それはそれでお話としてはなんだかインチキくさい。
察するに、71年のニクソン・ショック(第2のニクソン・ショックの方、ドル紙幣と金との兌換停止を宣言)の方が、今回の格下げなんかよりもよっぽどインパクトが大きかっただろう。ドルが本当の紙切れになった瞬間だったからだ。個人的にはこのときに格下げされても良かったのではないかと思う。

それに比べると、今回はずいぶん流暢に事態を眺めてきた挙句の果てにやっと格下げした気がする。「流暢に事態を眺めてきた」というのはアメリカでは議会が1962年以降、上限の引き上げに2010年まで74回も応じてきており、ついこの間(8月2日)に75回目が成立した。そのタイミングでS&Pが「ワン・アウト」を宣告したのだが、なぜ74回のリミット解除では看過し続けたのか、そしてなぜ「今」なのか?76回目や80回目のタイミングではダメなんですか?って蓮舫議員に聞いてみてもらいたい。

そんな彼らが「米国を格下げした」というだけの話なので、ニクソン・ショックとは雲泥の差という気がする。しかしながら、マーケットでは根拠なのないウソであっても「大多数がそう思って、一斉に行動すると、それがリアル化してしまう」といったことが(たとえ短期的にであれ)おきる恐れある。つまり、ウソが実現してしまうんですね。そうした、コンテクスト上で観れば、今回のS&Pによる格下げは一応、根拠はあるので危険な兆候なのかもしれない。

(予断だが、米国での連邦債務上限の起源は、第一次世界大戦期の1917年に政府が戦時国債を発行する際に、議会は市民の経済安全保障を守るために連邦政府の債務の上限を「リバティボンド(自由国債)法」で定めたこと、に端を発している。)

しかしながら、S&Pなんて一介の民間企業。別に馬鹿にするわけではないが儲けてなんぼの「ふつうの営利企業」ってこと。ですから稼ぎのいいビジネスを探し求めて常時あれこれ嗅ぎ回っている。サブプライムローンで露呈したように彼らの格付けは「中立的」とは程遠い場合もあるし、絶対的ではない。が、彼らの情報は機関投資家からヘッジファンドまで含めて多勢に影響を与えがち。格付けがA格とかB格といったこと注視して行動する「金魚のフン」みたいな投資主体も多く、そうした「フン」はS&Pの格付けで振り回される。

みんなが使うモデルと同じモデルで意思決定するなんてどうかしていると思うのだが、そうする規定やルールが運用プロセス内に「がっちり」組み込まれているというもの事実。一般論として、いったん社内のもろもろの手続きや合意を踏んでインストールされた仕組みって、今度は逆に止める際でも同じくらいの「根回し労力」を費やさないといけない。しかもトップが「責任回避型」だと、あれこれと自ら下す一挙一動についての事前のアリバイ作りに部下全員が従事させられる。そして、一気に不毛地帯となることがあるが、よくある。

話題を変更するが、

米国に限らずG7上の国はどこも似たり寄ったりだ。国内では失業率の高止まりと金融システム不安など低成長で社会保障などで政府債務が膨張気味。政治家は増税にも踏み切れず、且つ歳出削減もできない。各国政府は企業との中は不仲で、企業側も自国に見切りをつけ、より新興国を主戦場に考えている。といった具合だ。これでは、バッハの「G線上のアリア」ではないが、G7上の「ありゃ〜」といったところだろう。

米国ではいよいよ1937年の再来か?といったことが再燃中とのこと。2008年の危機以降、スタミュラスやマネタリーなどを増やして持ちこたえたものの、景気特に失業率はあまり改善せず。
また、政府のバランスシートをこれ以上大きくするのが困難になってきており、今後はバランスシート調整を余儀なくされる。そうなると、失業率が高く景況感は悪いのにも関わらず、緊縮財政に舵を取らざるを得なくなって、その結果1937年のようになる、というわけ。

その実現可能性はわかりませんが、ヨーロッパの一部では上記で述べた「1937」のようなオチに近づいているようす。米国がそうなると困ったことになるが、但し米国って「無駄」も多そう。例えば、戦争。これ止めるとどうなんでしょうねえ。徴兵されていた若者が国内に還元されるので失業率が上がるのかな?

それとあれだけ各国でエコカー減税とか補助金といったバラまき実行したのだから、どこかにお金があっても良いはず。むかし「チーズはどこへきえた」という本がベストセラーになりましたが、「政府がバラまいたお金はどこへ消えた?」というのにも興味が沸く。いったいどこへ?

実は、企業が溜め込んでる様子。とはいえ、全部が全部ではないが。エコ補助とか減税措置で助けてもらって彼らは稼いだ。そしてそのお金をプールしている。その額は211兆円!こういうのってまるまる彼らのものなのかい?

エコカー補助とかエコ家電補助とか減税措置とかいろいろなものがありましたが、それらは「国民のお金での支援」、いわば義援金だ。したがって、彼らが最近挙げた利益とか現金の全てが企業努力によって得られたとは到底言い難い(エコ衣料といった支援の無かったユニクロは別)。その意味で少しばかり、国庫に還元すべきだろうし、そうしたことは日米欧全てでいえる。それに応じない企業なんてその国から叩き出してしまってもいいのでは?という気もするのだが。


企業さん、国庫の世話になって「爪を伸ばさせてもろた」のだから、調
子に乗って爪を伸ばし続けるとそのうち剥がされまっせ。

国家さんもこのあたりから調達すれば資金繰りも一息つけるんをちゃいまっか?お金はあるとことからとらないとおっしゃる「ナニワの銀ちゃん」あたりが話つけてくれればいいのになあ・・。