最高裁「更新料判決」

平成23年7月15日最高裁判決(更新料判決)

最高裁HPから
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81506&hanreiKbn=02

全文PDF
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110715143324.pdf

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消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)というのがあるそうですが、これは、当該コストが一体何の対価なのかさっぱり分からず、経済的根拠に欠く「やらずぼったくり」のようなコストを消費者に課すことを禁じた法律です。要するに「人頭税」のようなものをチャージしてはだめ!ってこと。

ここでは賃貸借契約での更新料が人頭税に相当するではないか?という法的闘争に最高裁が答えたのでした。

本文を拝読すると、
1.上告人(大家)と被上告人(店子)との間の本件賃貸借契約等は「消費者契約」に確かに相当する
2.本件賃貸借契約に係る契約書「本件契約書」)には
(1),建物の原状回復費用の一部として12万円の定額補修分担金を支払う条項とか
(2)契約を更新するときは(これが法定更新であるか,合意更新であるか関係なく)1年経過するごとに,上告人(大家)に対し,更新料として賃料の2か月分を支払わなければならない条項とか、
が書かれていた。
3.原審(最高裁に上告される前の判決)では更新料とか定額補修分担金に関する特約は消費者契約法10条により無効であると判断した。

でも、最高裁としては

4.更新料条項は公序良俗に違反するものでもないし、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものではないので「人頭税」ではない
5.,更新料は賃料(補充ないし前払)の1種あるいは賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するので「やらずぼったくり」でもない
6.一部の地域では更新料の支払という商習慣は公知であるし、更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について両者の間に看過し得ないほどの格差があるとは思えない
7.したがって、

「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新
料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。」(判決主文から)

ということでした。つまり「更新料は妥当」という判断が下されました。

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当事者同士の特約条項という以外に、更新料は世間的にも周知でもあるし、商慣習にもなっているのだから「アリ」だということですね。

最高裁って「現状追認バイアス」がものすごく強いのかな。これでは消費者契約法が泣くってもんです。