セシウムの2次被害は薬害エイズと同類

福島県産の牛肉から基準値以上の放射性セシウムが検出された上に、それらが全国規模で流通してしまったようだ。更に、セシウムを含む「稲わら」が家畜向け資料として各県に流通したことも放射性物質の内部被爆の懸念に拍車を掛けている。

これらは明確に人災(怠慢行政)による二次被害であり、本質的には薬害エイズ問題と同根だ。

第一に甘い見通しである。ロクにチェックもせず大丈夫だろうという都合の良い推測が判断を誤らせる。薬害エイズもそうだったし、今回のセシウム被害も同じだ。本当に霞ヶ関には進歩がない。

第二に初動ミスである。現場に任せ、後は適当に通達すれば「コト足れり」という怠慢が、初動を遅らせる。毎度のことながら霞ヶ関にはスピード感がない。スピードという言葉は彼らの辞書に載っていないのだろう。

第三に情報の小出しである。或いは全容を未だに把握しきれていないのかもしれないが、それはそれでゆゆしき問題だ。情報を小出しにするのは、「食の安全」よりも自分達の「身の安全」が優先なのかと勘繰りたくなる。

これで牛肉に対する風評被害は致命的なものになった。「日本の食材輸出の再開」も夢のまた夢ではないか。

問題は牛肉だけなのか?ということだ。もともと畜産流通業界は食肉偽装など消費者軽視の傾向があるので、今回のセシウム牛の件でも「やっぱりねー」という感じだが、産地偽装などが常態化している農産物や水産物の流通業でも同様ではないか?

今後に期待が持てる。