脳と意思決定(その2)

本ブログの“キライじゃないけど生理的に無理」の脳科学”にて脳と意思決定を勘案する際に、敢えて蛮勇を振りかざして、脳を模式的にXシステムとCシステムの2つの主要部位から成り立っていると言う単純モデルを紹介しました。単純でシンプルなモデルを想定することで、因果がやや複合的で難解なコトガラがすっきり理解できるようになることが多いからです。

そこで、今回も脳は2つの部位:XシステムとCシステムから成り立つ
と想定し、それぞれ
Xシステムは「情熱的で即断即決型、でもそそっかしい」
Cシステムは「理性的で熟慮型、でも意思決定の速度が遅い」
という特徴を持っています。

そして、「Xシステムの働きは強固でありヒトの意思決定に必ず何らかの形で絡んでくる」ということでした。

そこで、今回「Xシステムでの意思決定の特徴」として次のような特徴をご紹介します。

1.熱しやすく冷めやすい
2.依存症と関係が深い
3.同じしくじりを何度でも繰り返す


1番目の「熱しやすく冷めやすい」とは、「何らかのきっかけで生じたXシステムの興奮状態は程なくしてほとぼりが冷める」ということとリンクします。ちょっと昔に流行った「ビビッときた!」のビビビ婚もXシステムの貢献による意思決定なのですが、いかんせんXシステムってヤツは一時的で「欲が満たされたり時間が経過したりする」と自分の「言ったこと(支持したこと)」忘れてしまうんです。「オレ、そんなこと言ったっけ?」みたいな感じで・・・、とにかくとぼけたヤツなんですね。これは、Xシステムの判断は「原始的で生理的な欲求」に根ざしている(例えばお腹がすいたなど)ため、当該欲求が満たされれば「はい!おしまい」ということになることに起因します。

2番目の「依存症と関係が深い」というのは、Xシステムでの意思決定はたいていの場合「原始的で生理的な欲求」が背景にある。だから、その通りうまくことが運べば、背景にある欲求が満たされる。欲求が満たされれば快感を感じる。そしてその快感をもっともっと維持するため快感持活動を繰り返そうとする・・・、このループシステムに歯止めがかからず無限ループ化したのが「依存症」です。でも、このループシステムを上手く利用すると「強化学習」という良い行動基準に繋がるんです。難しいところですね。ここでは、触媒としてドーパミンと言う物質が絡んでくるんですが、ドーパミンについては今回は省略します。

3の「同じしくじりを何度でも繰り返す」というのは2の依存症ループとは異なり、
「同じ状況になると過去での失敗が思い出せず繰り返す」
ことです。具体例を挙げます。

私も良くやりますが、ものすごいお腹がすいているときにスーパーの食材コーナーに行くと、ついつい買いすぎてしまうことがあると思います。(反面、満腹だと全然買う気が起きない)。この「買う買わない」の意思決定にもXシステムは絡むわけですが「食欲という戦力」が背後にある・なしで買い過ぎるかどうかが左右される。冷静なCシステムだけならば「いつも同じだけ買う」という行為に落ち着くんでしょうが、Xシステムがそうはさせてくれないんですね。

加えて、「ついつい買いすぎてしまった」ことを後悔する(後悔はCシステムの仕事)ものの、次回にまた空腹時にスーパーの食材コーナーに行くと、前回の失敗が思い出せず、Xシステムはまた「食欲にまかせて買い込もうとさせる」んですね。つまり、Xシステムにはあまり進歩がないんです。

などなど、突っ込みどころ満載のXシステムでした。