ウィル・ロジャース現象
ウィキペディアから
「ウィル・ロジャース現象(Will Rogers phenomenon)とは、ある集合の中の1つの数を別の集合に移した結果、両方の平均が高くなる現象のことである。アメリカ合衆国のコメディアンであるウィル・ロジャースが、1930年代の世界恐慌の際に、「もしオクラホマ州の出稼ぎ労働者がカリフォルニア州に移動したら、両方の州の知的レベルが上がるだろう」と言った言葉に由来する。
この現象は、次の2つの条件がともに成り立つ時に起こる。
移動する要素は移動前の集合の平均よりも小さい。
移動する要素は移動先の集合の平均よりも大きい。 」
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例えば、ある塾にA組とB組の2つのクラスがあって、A組は成績上位者で構成され、B組は成績下位者で構成されているとします。
A組の生徒であるK君はA組の平均より成績は下なのですが、B組の平均より成績は上であったとしましょう。
ここでK君をA組からB組へクラス替えをするとどうなるか?
A組の平均は(A組の平均より低いK君がいなくなったので)上昇し、同時にB組の平均も(B組の平均より高いK君が加わったので)上昇します。
すると、あら不思議!「K君の移籍」は塾全体の平均知能のアップに貢献した?だって、A組の平均もB組の平均も「上昇した」のですから。
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A組とB組を併せて、全体をひとまとめにして観察すれば何もおきていないことは自明ですね。でも、全体をある部分とある部分に小分けにして局所的な平均値を観測することで「ウィル・ロジャース現象」の類する物語が出来るんです。
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他にも作って見ましょう。
日系企業と米系企業との間で株主資本利益率(利益÷株主資本、Retrun On Equityというが、この3語の頭文字と利用してROEと称される)が大きく異なるとしばしば言われます。
ちなみに、株主資本利益率(以下ROE)だいたい
日系企業では5〜10%
米系企業では15〜20%
のレンジに収まるようです。
そもそもROEは高い方が「好ましい」とされており、数値の高い方が成績優秀、つまり米系企業の方がさっきの塾の例でA組に相当し、日系企業がB組になります。
ここで、米系企業の中でROEが14%と米系内では「下限」に位置するが日系内では「上限」に位置する会社Xを、Xと同規模の日系企業Y(ROEが7%くらい)が買収するとどうなるか?
日系平均より高いXが加わったので日系企業YのROEは上昇します。
そして日系企業YのROEが上昇するので「日系企業全体のROE」もアップする。また、米系平均より低いXが去ったので「米系企業全体のROE」もアップする。
したがって、日米双方の平均ROEがアップした!
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M&Aの提案なので使ってみるのはどうでしょう。