モノは言い様:話し方あれこれ

節電が叫ばれはじめてからだいぶ経過しましたが、節電とか節約といった「ちょっと努力を要する取り組み」についてやるきが沸く言い方と沸かない言い方があります。数年前のTVのCM(たしか大和證券のCM)で、お金の節約について、

1.給料の20%の金額を預金しよう
2.給料の80%内で生活をやりくりしよう

という2つのスローガンのうち、1の表現よりも2の表現の方が好感度が高く、取り組み意欲が沸くという解説がありました。内容的には同じことをフレーミング(判断志向の枠組み)を変えることでヒトの感じる印象を変えることができる現象の一例です。

節電でも

1.15%を削減しよう
2.85%で賄おう

の2つを言われたとき、どちらに好意を抱きますか?
1だと無理を強いられる感じがありますが、2だと前向きな努力で達成できそうな感じがしますよね。

1では、
・初めに与えられたバジェット(予算)が100持っている
・でも、そこから15だけ引かれる・ピンはねされる
ようなイメージを持ちます。与えられた権利から引き算されると心理的な抵抗が自然と沸くんですね(脳内Xシステムが損を感じるので)。

それに対して2では
・初めに与えられたバジェットは0である
・でも、そこから上限85までだけ与えられる上に、上限に至らず余った分だけポケットに入る
ようなイメージを持ちます。ゼロからの足し算ですから得した気分になる上に、おまけに努力に応じたボーナス(報酬)まで付いてくる感じです。脳のXシステムは報酬を感じます。

また、後者の方がドーパミンがでるそうです。「モノは言い様」ですね。

よく「ゼロから考えよう」といいますが、初期値があると判断がそれ(初期値)に依存してしまう上、引き算がからむ過程でマイナス思考になる恐れがあり、そうした罠やしがらみを回避する意味で「ゼロから」という意思決定には一理あるんですね。